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Channel: ベイのコンサート日記
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ゲルゲイ・マダラシュ(指揮) ヨゼフ・シュパチェク(ヴァイオリン) 東京都交響楽団

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(10月8日・サントリーホール)
指揮のゲルゲイ・マダラシュは都響初登場。1984年、ブダペスト生まれの38歳。5歳からハンガリーやトランシルバニアの民族音楽を学び、後にフルート、ヴァイオリン、作曲を学ぶ。ブダペストのリストアカデミーのフルート学科、ウィーン国立音楽大学の指揮科をそれぞれ卒業。2019年9月より、ベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任。ルツェルン・フェスティバル・アカデミーにおいて2011-13年ブーレーズのアシスタント・コンダクターも務めた。オペラでも活躍している。経歴からも今日のプログラムは、得意とする作品ばかりだろう。

 

リスト「ハンガリー狂詩曲第2番」は、ドップラー編曲版ではなく、ドイツ出身のヴァイオリン奏者、指揮者、作曲家として活躍したカール・ミュラー=ベルクハウス(1829~1907)による管弦楽編曲版。カラヤン&ベルリン・フィルが録音している。

マダラシュは冒頭のレント・ア・カプリチオーソのゆったりとした導入部を分厚くたっぷりと歌わせるが、くせはなくさらりとしている。民族舞踊の出る後半もうまくまとめていた。

 

「バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番」のソリスト、

ヨゼフ・シュパチェクは1986年チェコ生まれ、36歳。ジュリアード音楽院でイツァーク・パールマンに、カーティス音楽院でイダ・カヴァフィアンとハイメ・ラレードに、そしてプラハ音楽院にてヤロスラフ・フォルティーンに学ぶ。チェコ・フィルハーモニー史上最も若いコンサートマスターに就任したが、2019/20シーズンをもってコンサートマスターの職を離れ、ソロ活動に専念している。使用楽器は1732年製のグァルネリ・デル・ジェス“Le Brun;Bouthillard”。

 

都響には度々登場しており、2016年ヤクブ・フルシャとドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」を、2018年にはエリアフ・インバルとショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番」を演奏した。いずれも聴いた。

 

https://ameblo.jp/baybay22/entry-12228606178.html

https://ameblo.jp/baybay22/entry-12545917688.html

 

第1楽章から艶のある美音で進む。展開部半ばの激しいフレーズも鮮やか。再現部の主題も美しい。四部音(クオーター・トーン)もきれいに響かせた。音程がしっかりとしており、安定した演奏。

第2楽章アンダンテ・トランクイロの主題と変奏もとても美しい。パールマンゆずりの美音と言うべきか。主題は甘く奏でられ、第1変奏、第2変奏も美音。荒々しい第3変奏ですら、とげとげしくない。レントの第4変奏も滑らか。アレグロ・スケルツァンドの第6変奏もスムーズ。都響の演奏もこなれていた。第7変奏は少しおとなしい。

第3楽章は艶やかでうまいけれど、迫力はいまひとつ。

 

アンコールについて英語で説明したが、良く聞き取れず。母の故郷のモラヴィア地方の民謡で、小さなころから聞いたメロディーというようなことを話したと思う。

曲名はモラヴィア地方の民謡”Když šel z Hradišta”
直訳すると「フラディステから出かけたとき」。

 

チェコでは良く歌われる曲のようだ。ネット翻訳すると歌詞はこういうもの。
1.祝福の城から出かけた時

ある女の子に突然出会った

彼女は私のことを知らなかった。

彼女は私に赤いリンゴをくれた。

 

2.私が愚かなšohajekであったこと。

私は彼女の手からリンゴを取り上げた。

食べながら青ざめた。

 

3.息子よ、誰かがくれるものをもらってはいけない。

そんなリンゴを見ると、頭が痛くなる。

頭が痛い、心が痛い。

あなたが愛してきたものは、すべて終わりを告げた。

 

後半は「ドヴォルザーク:交響曲第8番」
マダラシュの指揮は、丁寧できっちりと進めていく。旋律もよく歌わせる。第1楽章展開部の頂点に至るまでの過程が緻密で、強音も濁らない。シンフォニックでエネルギーに満ちている。コーダは切迫感があった。

 

第2楽章もきちんとしているが、少し平凡かも。中間部は盛り上げた。

第3楽章は透明感がある響き。トリオでのフルート、オーボエが美しい。フルートはN響首席の神田寛明がゲストで参加していた。

第4楽章の変奏はエネルギッシュ。弦も切れ味がある。

マダラシュはオーケストラのコントロールがうまい。コーダもしっかりと盛り上げた。

写真©都響


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