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Channel: ベイのコンサート日記
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GGサロン・コンサート 斎藤明子 共演:藤原浩哲(ひろあき) ギター・ソロとデュオの夕べ

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914日、現代ギター社GGサロン)

プログラム

第1部(斎藤明子ソロ)

●ファンタジー(ヴァイス)

●ソナタOp.15-2 初版(ソル)

●マリーア(ガヴォット)/マズルカ/メヌエット/アラビア風綺想曲(タレガ)

●ハンガリー幻想曲(メルツ)

 

2部(藤原浩哲&斎藤明子デュオ)全て藤原浩哲編曲。

●グラナダ、カディス、アストゥリス、セビーリャ(アルベニス~藤原編)

●別れのノクターン(グリンカ~藤原編)

●月の光(ドビュッシー~藤原編)

●ワルツ・ピカピカ(作者不詳~藤原編)
●カンシオン&ボサ・ノバ(モンテス~藤原編)
●鐘のひびき(ペルナンブーコ~藤原編)

●ティコティコ(アブレウ~藤原編)

 

 ギターのリサイタルはひさしぶり。前半は斎藤明子のソロ。12弦ギターを使用。1曲目「ファンタジー」(ヴァイス)こそ少し流れが滞ったが、2曲目「ソナタOp.15-2 初版」(ソル)のリズム感のある作品からリラックス。古典的な形式美に加えてユーモアも感じた。

タレガの4曲は味わい深い。最初の3曲のそこはかとない哀愁と「アラビア風綺想曲」の異国情緒は魅力的だ。ギターで奏でられる音楽は親密で優しい。斎藤明子は「ハンガリー幻想曲」(メルツ)では民族色豊かで華やかな演奏を聞かせてくれた。

 

 後半は藤原浩哲と斎藤明子のデュオ。藤原がすべての曲を2本のギター用に編曲した。出版され、多くの人に弾いてもらうことを念頭に置いているとのこと。今回は、旋律を彩る伴奏的な部分は自由に思い切りアレンジしたと言うが、中にはオリジナルを生かしたり、2つのギターが弾きやすいようにしたもの(別れのノクターン、月の光)もある。

 

アルベニスのピアノ作品「スペイン組曲」がギターで弾かれるとスペイン情緒がさらに濃厚になる。2本で弾かれることでハーモニーが厚くなる。メロディーラインは主に斎藤明子が担当していたが、前半の一人で旋律とハーモニーを弾く難しさから解放され、伸び伸びと良く歌う演奏だった。藤原によれば「グラナダ」「カディス」はピアノ版を生かし、「アストゥリス」「セビーリャ」はもうひとつのギターに新しいフレーズを加えたという。

 

藤原は常にyoutubeなどで、魅力的な旋律の曲を探していると言う。そうした中から見つけた曲がグリンカの「別れのノクターン」。おそらくこの「ノクターン《告別》」(1839)ではないか。藤原はノクターン《別れ》だったので、「別れのノクターン」とつけたと言うが、なかなかいいタイトルだ。
https://www.youtube.com/watch?v=8g7_HR_2A0s

「月の光」(ドビュッシー)と続けて弾かれたが、2つのギターが合わせやすいように編曲したというだけあって、シンプルで曲の良さを味わった。

 

クラシック一本やりできた斎藤明子にとって後半の「ワルツ・ピカピカ」以下のラテンの曲は初挑戦だと言う。しかし、ボサノヴァを佐藤正美に師事した藤原浩哲の乗りの良い伴奏に乗って、とても楽しそうに弾いていた。初挑戦とは思えない。一時はエレキギターにも挑戦したという斎藤明子には今後もぜひラテンやボサノヴァの分野を開拓してほしいものだ。最後の「ティコティコ」はノリノリだった。

 

アンコールは二人で「月光」(ソル)と「アルハンブラの思い出」(タレガ)が披露され、さらに藤原が『今日は斎藤明子さんのリサイタルなので、最後は斎藤さんにポンセの「エストレリータ」を弾いていただきます』と締めた。斎藤明子の「エストレリータ」は優しく柔らかなフレーズ感が素晴らしい。斎藤明子の個性と人柄が演奏に表れている。

 

斎藤明子の「エストレリータ」は20数年前、彼女がソニー・ミュージックから出した2枚目のアルバム『アールソバージュ』の1曲目に収録されていたことを思い出した。今はそのCDは手元にないが、今日の生演奏を聴いて当時聴いた記憶が蘇った。音楽の持つ力、記憶を呼び覚ます力はすごいと改めて実感した。

 


 


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