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Channel: ベイのコンサート日記
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ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 グスターボ・ヒメノ ユジャ・ワン

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13日、サントリーホール
 ユジャ・ワンは期待通りの超絶技巧でチャイコフスキーのピアノ協奏曲第2番を聴かせた。第1楽章展開部の長いカデンツァや第3楽章コーダでの怒涛のピアノは圧巻だった。

技巧的な面ばかりが注目されるが、個人的には彼女の弱音や抒情的な演奏に惹かれる。今日も第1楽章第2主題のリリカルな歌わせ方や、アンコールで弾いたシューベルト(リスト編):「糸を紡ぐグレートヒェン」(12の歌第8曲)の大都会の孤独を感じさせるひんやりとした空気感が素晴らしかった。アンコールを4曲も演奏してくれたのは日本ツアー最終日のサービスだろうか。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団はオーケストラの究極の形を思わせる。

弦楽器は豊かで温かく奥が深い響きを持ち、木管は色彩感があり艶やか。金管はホルンを始め安定している。名手が綺羅星のごとく集まっているオーケストラとも言える。最も素晴らしい点はプログラムで指揮者のグスターボ・ヒメノが語っているように、楽員がお互いに啓発していることだろう。いいソロがあるとさらにいいソロを生むという理想的な形が出来上がっている。

 このオーケストラでリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」を聴くというのはこれ以上ない幸せな体験だった。オーボエ奏者、指揮者の宮本文昭が「シェエラザード」を演奏するのはオケマンとして最大の喜びのひとつ、なぜならソロの出番がふんだんにあるからと語っているが、コンセルトヘボウ管のメンバーたちも心の底から演奏を楽しんだことだろう。

 コンサートマスター、リヴィウ・ブルナルのヴァイオリン・ソロをはじめ、チェロ、ファゴット、オーボエ、フルート、ホルンの各ソロは聴き手を別世界へいざなうようだった。

 そしてオーケストラ全体の色彩感、豊潤な音の坩堝は空前絶後。特に第2楽章「カランダール王子の物語」からがどんどん音楽が充実していき、コンセルトヘボウ管の伝統であるお互いに更に上を目指し高めあっていく演奏が生まれていった。

 グスターボ・ヒメノの指揮は、ストレートで衒いがなく、開放感があるのびのびとした音楽をつくっていた。

 

グスターボ・ヒメノ(c) Marco Borggreve ユジャ・ワン(c) James Cheadle

アンコール詳細:サントリーホールのページ
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/perform/encorelist.shtml

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