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Channel: ベイのコンサート日記
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大野和士 東京都交響楽団 安藤芳広(ティンパニ)アホ「ティンパニ協奏曲」マーラー《巨人》

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第924回 定期演奏会Aシリーズ

4月20日(火) 19時・東京文化会館

指揮/大野和士

ティンパニ/安藤芳広(都響首席奏者)


カレヴィ・アホ「ティンパニ協奏曲」(2015)[日本初演]

今回が日本初演だが、先に18日の大阪特別公演でも演奏されている。

フィンランドの作曲家カレヴィ・アホ(1949-)が、トゥルク・フィルのティンパニ奏者マリ=ペッカ・マエンパーからティンパニ協奏曲の新作を頼まれ、彼から楽器の機能を徹底的に教わって作曲した。
サイズの違う5台の太鼓を使用。音高を変えられるチューニングペダルで、中央ドを最高音とする2オクターブの音域の中で演奏される5楽章約30分の大作。

ティンパニは、第2楽章以外はほぼ叩き続けで、休む場面がない。
第3楽章は他の打楽器奏者も加わり、ラテン音楽のように激しくリズミカルで楽しい。
都響首席奏者、安藤芳広はまるで千手観音のように5台の太鼓と多数のマレットを使い分け、名人芸を披露した。

大野の切れの良い指揮は、現代音楽と相性が良く、どんなリズムの変化にも縦の線をきっちりと合わせて、隙がなかった。
 

マーラー「交響曲第1番《巨人》」

16型のオーケストラでマーラーを聴くという機会は、コロナ禍以降希少になってしまったが、今夜はひさしぶりに実現した。
大野和士は、大型編成の都響と筋肉質で引き締まったマーラーをつくりあげた。
第4楽章練習番号52からの「最高度の力で」とマーラーの指示がある終結部では、弦楽器奏者の気迫がすさまじい。ついに弦が切れたのか、第2ヴァイオリン奏者が袖に引きこむ姿もあった。ホルン8人の立奏とともに、嵐が吹きすさぶように演奏は終わった。

 

聴衆の拍手は盛大だった。ただ、大野和士の力技でギリギリと締め付けるような演奏は圧迫感があり、息苦しくて、共感し、感動することができない。音楽を通してもっと解放感を感じさせてほしい。これは今回だけではなく、大野和士の指揮にいつも思うことでもある。


写真©東京都交響楽団


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