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Channel: ベイのコンサート日記
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小林美樹ヴァイオリン・リサイタル ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ全曲」

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6月9日(火)・東京文化会館小ホール

今年は小林美樹にとって記念すべき年。演奏家デビュー20周年、CDデビュー10周年、ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞10周年。
新たな挑戦として、ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ全曲リサイタル」を姉の小林有沙のピアノと共演して開催した。


第2番が素晴らしい演奏だった。インタビューでも大好きと話していただけあり、有沙の豊かな響きのピアノの上で、温かく歌に満ちた主題を伸びやかにたっぷりと歌わせた。展開部は小林有沙のスケールの大きな演奏と小林美樹のヴァイオリンがダイナミックに絡み合い、聴きごたえがあった。活気があり、姉妹が乗りにのって演奏する様子が爽快だった。

第3楽章もたっぷりとした響きを駆使して、ブラームスの旋律美をスケール大きく歌い上げた。コーダも充実して、堂々としていた。

 

客席の拍手も大きく二人のやりとげたという満足感に満ちた笑顔も印象的だった。

 

最初の第1番は出だしはゆったりとしたテンポ、レガートで長くフレーズをとって、大胆に入っていったのだが、最初の緊張もあったのか、慎重になったのか、いまひとつ中に入って行けていないもどかしさがあった。ただブラームスが自作の歌曲「雨の歌」を主題とした第3楽章は、素直に演奏したことがうまく行き、伸びやかさがあって良かった。

 

休憩後の第3番は冒頭から小林有沙のピアノがますます大胆になり、美樹も負けじとスケールの大きな演奏を展開した。有沙の弾く第2主題も表情が豊か。美樹のヴァイオリンも艶やかに歌う。コーダの有紗の低音は凄みさえ感じた。

第2楽章はヴァイオリンがゆったりと歌う。ただ少し表面的。第3楽章スケルツォはヴァイオリンの重音とピアノのスケールが大きい。

 

第4楽章は二人の若さが爆発。有沙が弾くコラール的な第2主題も美しい。ヴァイオリンは艶が増す。コーダは二人が情熱的に激しく盛り上げ大きなクライマックスを作った。

 

息の合った姉妹で実現したブラームスへの挑戦。難しい作品に挑戦し、小林美樹にとっても新たなる道、目標が見えたのではないだろうか。

 


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