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Channel: ベイのコンサート日記
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ヴァイグレ 読響 ガルシア・ガルシア (6月16日・サントリーホール)

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(6月16日・サントリーホール)

ヴァイグレと読響、両者の結びつきがますます堅固となっていることを感じたコンサート。

2019年5月14日読響常任指揮者就任記念公演のあとの記者懇親会で、「最新型のベンツがアウトバーンを滑らかに疾走するような演奏でしたね」とご本人に言ったら「いいこと言うね。その通りだよ」と喜んでくれたが、今夜のドヴォルザーク「交響曲第8番」もまさにそうした名演だった。

 

16型の読響をシンフォニックに鳴らすダイナミックな演奏で、細部まで彫琢され、フレーズも繊細な表情がある。クライマックスでも響きは濁らず、各声部がクリア。対旋律やオブリガートのハーモニーが全て美しい。

 

印象的だったことは、ppからffに移行していく過程の緻密さと転換の鮮やかさ。例えば、第1楽章展開部の頂点までの過程の緻密な組み立てや、第2楽章での小鳥の鳴き声のような木管からホルンの強烈な吹奏への場面転換の鮮やかさ。

 

他にも、第3楽章のワルツ的な主題の歌わせ方が洗練されており、第1ヴァイオリンの艶のある音と憂いのある表情が美しい。

第4楽章の冒頭のトランペットも朗々と吹奏され、チェロの弾く主題も、まろやかでとても美しい音。各変奏も切れが良く、民族的な第5変奏のチェロとコントラバスの低音の厚みがすごい。

コーダ直前の弦同士のハーモニーが濁らず本当に美しい。最後まで響きが濁らず透明感を維持していた。

ヨーロッパの名門オーケストラを聴いているような感覚に終始した。

 

1曲目のドヴォルザーク「交響詩《真昼の魔女》」はまるでオペラの1幕のように物語性を細やかに描いていった。隅々まで良く聞こえる見通しの良い演奏。

 

ガルシア・ガルシアのモーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」は、チャーミングな演奏。ファツィオリの輝くような音を駆使して、いかにもモーツァルトという軽やかで艶のある

粒立ちの良い音を紡いでいく。第2楽章はもう少し陰影があると良かったかもしれない。

ヴァイグレ読響は爽やかな演奏でガルシア・ガルシアを盛り立てた。

 

アンコールは、ベートーヴェン「6つのバガテルから第6番」。導入部とコーダのプレストとその間の静かなアンダンテ・アマービレ・エ・コン・モートの対比がユニーク。ガルシア・ガルシアが弾くとユーモアたっぷりのエンタテインメントになる。

 

ホールには、ガルシア・ガルシアのファンと思しき女性や女子高生、中学生も大勢駆けつけていた。


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