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Channel: ベイのコンサート日記
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落合陽一×日本フィルプロジェクト VOL.6『偏在する音楽会』(8月25日・サントリーホール)

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■キャスト

落合陽一(演出、監修)

WOW(映像の奏者)

海老原光(指揮)/日本フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

 

プログラム

ジョン・ケージ:ミュージサーカス(1967)[コンサートホール版]

阿寒アイヌ、世界遺産 京都醍醐寺の僧侶、LOVOT(らぼっと)、琉球舞踊、日本フィルハーモニー交響楽団メンバー、ウルトラマン、”DJ Torarz”、サトちゃんムーバー

 

アイヴズ:答えのない質問

藤倉大:メディアアートとオーケストラのための「for null」

  ――落合陽一「Re-Digitalization of Waves」に寄せて ※委嘱世界初演

ファリャ:《恋は魔術師》より「火祭りの踊り」

ストラヴィンスキー:バレエ組曲《火の鳥》(1919年版)

 

 

※開演前プレイベント「カラヤン広場のミュージサーカス」17:00~18:00

プレイベント<カラヤン広場のミュージサーカス>出演者

アマルジャルガル・ドルギオン(馬頭琴・ホーミー)、巨大クロネコ、斉藤 浩(ツィンバロン)、NPO法人日本インドネシア・バリ教育文化協会(JIBECA)(ガムラン)、中村華子(笙)、橋本晋哉(セルパン)、マイケル ʻマニッシュʼ ロビンソン(スティールパン)、街角マチコ(マトリョミン)

 

今回の目玉はジョン・ケージ:ミュージサーカス(1967)。

ミュージサーカス(Musicircus)とは数多くのパフォーマーが一か所に集い、同時に独立して演奏することによって成り立つイヴェント。タイトルは音楽(music)と、複数の事象が同時に進行する「サーカス(circus)の状況」を掛け合わせたもの。ケージはこのタイトルとコンセプトを提示しただけで、スコアはない。1967年の初演以来、世界各地で上演されている。

 

17時から18時までの<カラヤン広場のミュージサーカス>は体験できなかったが(巨大クロネコが可愛かった!)、サントリーホールのステージ版では、開場してからのステージ上で、”DJ Torarz”が音をつくりつつ、1階席後方の2つの大きな組舞台上に下手に、LOVOT(らぼっと)たちが動き、上手の舞台上にはサトちゃんムーバーが置かれている。開演の合図が聞こえ、場内が暗くなると、最初にウルトラマンが登場、ステージ上で演技をして去る。続いて、琉球舞踊が5人の地謡(じうたい)により奏でられ、佐辺良和が舞う。しばらくするとLAとRA席に3人ずつ分かれた阿寒アイヌたちが、歌や手拍子を始める、一人はムックリ(アイヌの口琴)を奏でる。P席では京都醍醐寺の僧侶たち6名が声明を唱え始める。

ステージ上では、日本フィルチェロソロ首席の菊池知也とオーボエ首席の松岡裕雅がイサン・ユンの「東と西の小品1」を演奏、また日本フィルのワークショップファシリテーターチームと打楽器セクションが輪になって座り、前の人の背中に鈴やカスタネットをリレーするように打ち続けていく。作品名は、三輪眞弘「逆シミュレーション音楽<またりさま>」という。

 

これが20分以上続く。サントリーホールの音響の良さも相まって、様々な音が混じり合って、幻覚体験的な雰囲気が醸し出される。それぞれのパフォーマンスは興味深く、

最初の内は物珍しさもあるが、15分を過ぎるとだんだん飽きてくる。貴重な体験ではあった。

 

アイヴズ「答えのない質問」は、弦楽合奏、トランペット独奏、フルート4本の編成。トランペットの問いにフルートが答える形で進む。至極まともな曲に聞こえた。

 

 

藤倉大:メディアアートとオーケストラのための「for null」

  ――落合陽一「Re-Digitalization of Waves」に寄せて ※委嘱世界初演

は、藤倉大が落合陽一の映像コラージュにあわせて、自分の過去の作品の録音を切り張りしたものを創り、今度はそれをオーケストラ用にスコアに落とし込んだもの。

そのさい一部作曲したという。

 

本番では落合陽一の作品が、舞台上とP席、 RA席、 LA席に多数置かれたLEDプロジェクターに映し出される中に、海老原光と日本フィルが演奏を進めていく。

作品は長い旋律線で構成された、アンビエント・ミュージック的なもの。聴きやすい。

 

後半は、ファリャ:《恋は魔術師》より「火祭りの踊り」から。

冒頭、京都醍醐寺の僧侶3人による「法螺貝」が吹かれ、野性味があった。

 

最後はストラヴィンスキー:バレエ組曲《火の鳥》(1919年版)。

いずれも演奏中はLEDプロジェクターに映像が映される。

アンコールは、グリーグ「劇音楽『ペール・ギュント』組曲より<ソルヴェイグの歌>」。


昨年同様、日本フィルは10型で、弦の響きが薄い。ふだんクラシックを聞かないと思われる若い聴衆に対して、せめて12型くらいの編成で厚みのあるきちんとした演奏を届けてほしい。

 

 


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