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青木尚佳(紀尾井レジデント・シリーズ 第1回)~ミュンヘン・フィル コンサートマスター就任記念

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(12月21日・紀尾井ホール)
青木尚佳を初めて聴いたのは8年前の2015年4月のこと。同年7月の浜離宮朝日ホールでのリサイタルですでに大家への道を着実に歩み始めていると実感した。

 

以来下記に書いたように何度も聴いているが、2017年を最後に少し間が空き、ひさしぶりに聴いたのが昨年4月の紀尾井ホール室内管弦楽団でのベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」。この時はトレヴァー・ピノックのキャンセルで公演2か月前に決まったもの。準備期間の短さにもかかわらず、その印象は圧倒的だった。

 

ブログにはその進化について以下の3点を挙げた。

①   最大の変化は、磨き抜かれた音色の美しさ。4年前ももちろん美しかったが、洗練の度合いが飛躍的に高まり、気品や格調という要素も大きくなっている。

 

②   もうひとつは、演奏の余裕。デビュー当時から堂々としたステージだったが、今や世界の一流指揮者やアーティストとの共演を重ね風格が備わってきた。

 

③   三つ目に、コンサートマスターの経験が生きているのか、指揮者とオーケストラとのコラボレーションが巧みになっていること。今日の演奏でも、青木が全体を引っ張っているという印象を受けた。これは協奏曲では強みとなるだろう。

 

今回のリサイタルは、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ op.27(全曲)という、青木にとって初めての完全なソロ・リサイタル。このための準備は周到を極めたのではないだろうか。磨き抜かれた音色の美しさ、洗練の度合いは更に高まり、気品や格調という要素に加え、大家の演奏としか思えない風格と余裕が備わっていた。難曲が全く難曲とは聞こえない、完璧という言葉の更に上を行くような細部の完成度にはただ聴き入るほかなかった。

 

詳しくは「音楽の友」コンサート・レヴューに書くのでここで止めたいが、各曲の演奏の美点を書き始めたら膨大な量になることは確かだ。

 

J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲のあとにアンコールはないのと同様にイザイでもアンコールはないが、青木がマイクを持って登場し、来場の聴衆、主催者の紀尾井ホールへのお礼を述べるとともに、今回のソロ・リサイタルについて『友人たちからはソロ・リサイタルは大変だよ、また全て自分でコントロールできるので楽しいよ、とも言われました。初めて体験してみて、まずまず自分の思うようにできたかなという感想です』と語った。

その屈託のない話しぶりが以前と変わらないことに、何かほっとした。

 

2015年4月5日

青木尚佳と仲間達~音楽ネットワーク えん 第125回ディスカヴァリーコンサート | ベイのコンサート日記 (ameblo.jp)

 

2015年7月1日

青木尚佳ヴァイオリンリサイタル | ベイのコンサート日記 (ameblo.jp)

 

2015年12月25日

音楽ネットワークえん 第4回コンチェルト演奏会 | ベイのコンサート日記 (ameblo.jp)

 

 

2016年4月16日

青木尚佳(ヴァイオリン)&伊藤悠貴(チェロ) | ベイのコンサート日記 (ameblo.jp)

 

 

2017年2月1日
高関健 NHK交響楽団 青木尚佳(ヴァイオリン) | ベイのコンサート日記 (ameblo.jp)

 

2022年4月22日
紀尾井ホール室内管弦楽団 ジョナサン・コーエン(指揮) 青木尚佳(ミュンヘン・フィル コンマス) | ベイのコンサート日記 (ameblo.jp)

 

 

 


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