(12月22日・紀尾井ホール)
シューマン:マンフレッド序曲Op.115
コンサートマスターは元読響の小森谷巧。愛知室内オーケストラは7-6-6-4-3の編成。人数が少ないとは言え、ヴァイオリンがもっと前に出てもいいような気がした。
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54
12月15日の東京オペラシティでのリサイタルでシューベルト、リストの名演を聴かせたオピッツのシューマン。丸みを帯びた重みのあるドイツ伝統の音が、シューマンの翳りのある音楽によく合う。ロマンティックな演奏を聴いていると、大昔名画座で見た1947年制作公開のアメリカ映画『愛の調べ』の最後の場面、ロベルトが亡くなった後にクララがこの曲を弾く場面が目に浮かんできた。映画ではキャサリン・ヘプバーンがかなり大胆なタッチで弾いていた。
山下一史指揮愛知室内オーケストラ(ACO)も、冒頭のオーボエがオピッツに合わせて陰影の深い音。第2楽章中間部のクラリネットが幻想的な雰囲気を醸していた。
オピッツは第3楽章終盤のワルツ風の部分ではテンポをあまり動かさず、弾いていった。アンコールはなし。
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92
山下一史のもと、ACO全員の気持ちがひとつになった演奏。第1楽章展開部は推進力があり、短調から長調に変わる第2楽章中間部は、明るく幸せな感情が沸き起こる。こうした温かな演奏はACOの特長のひとつだと思う。第3楽章スケルツォ、トリオの素朴な表情に和む。終楽章の気迫のこもった熱い演奏に心が動かされた。