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Channel: ベイのコンサート日記
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マルクス・シュテンツ 新日本フィル トパーズ トリフォニー・シリーズ

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22日、すみだトリフォニーホール)

  ハイドンの2つの交響曲での新日本フィルの配置がユニーク。コントラバスとチェロがヴィオラを挟んで左右二組に分かれている。初めて見た。その効果は、正直よくわからないが、低音部が全体に混ざりあい、中央から聞こえてくるのも、不自然さはなかった。

 交響曲第22番「哲学者」第1楽章では、ホルン奏者と、イングリッシュ・ホルン奏者各2名が、舞台下手と上手に分かれて立ち、ユーモラスなふたつの楽器の対話を、わかりやすく示していた。

 交響曲第94番「驚愕」では、有名な第2楽章で、下手のコントラバス奏者が、いきなり持ち場を離れ、ティンパニ奏者のほうへ向かっていき、「寝ていた」ティンパニの川瀬達也に代わって、ドンとティンパニを叩くと川瀬がびっくり仰天して目を覚ます、という演出付きで客席に笑いが起きた。

 シュテンツの指揮するハイドンは、非常に生命力にあふれ、生き生きと闊達なハイドンだ。新日本フィルもハイドン全曲演奏会の伝統があり、得意とする作曲家。両者の気持ちが通い合った名演になった。

 

 後半のヘンツェ交響曲第7番も名演だった。シュテンツはヘンツェの数多くのオペラを世界初演しており、作曲家に対する共感に満ちている。演奏には、内から湧き上がるエネルギーの充実があり、確信と自信にあふれた指揮ぶりだった。新日本フィルもシュテンツの音楽性に全幅の信頼を置いていることが、はっきりと伝わる積極的な演奏を聴かせた。金管をはじめ、定評のある木管、そしてシュテンツが真っ先に立たせたチェロ群を始め、コンサートマスター豊島泰嗣の好リーダーシップもあり、集中力のある演奏を展開した。

 上岡敏之が音楽監督に就任以来、新日本フィルは着実に力をつけてきている。長年聴き続けた身としては、これほどうれしいことはない。シュテンツの来週のコンサート(@サントリーホール)も楽しみだ。

 

写真:(cMolina Visuals

 

 


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