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Channel: ベイのコンサート日記
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マツオコンサート クァルテット・ベルリン・トウキョウ カルテット・アマービレ

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218日、よみうり大手町ホール)
 

 弦楽四重奏曲団育成を目的とする松尾学術振興会主催のコンサート。昨年と同じ2団体が出演。ふたつは競うわけではないが、クァルテット・ベルリン・トウキョウに勢いがあった。
 

クァルテット・ベルリン・トウキョウは、ハイドン「弦楽四重奏曲ニ長調《ラルゴ》」とベートーヴェン「弦楽四重奏曲第9番ハ長調《ラズモフスキー第3番》」。の2曲を選んだ。ニ長調とハ長調という明るい調性と、クヮルテット・ベルリン・トウキョウの溌剌として元気のいい演奏がぴったり合う。松本瑠衣子(まつもとるいこ チェロ)の次々に変わる表情を見ているだけで、彼らが表現しようとする音楽が伝わってくる。ラズモフスキー第4楽章フーガは、まるでロックのような乗りがあった。彼らの演奏は音も艶やかできれいなので、激しく弾いても、バランスが崩れない。

 

一方カルテット・アマービレが選んだベートーヴェン「弦楽四重奏曲第15番イ短調作品132」は深い表現力が求められる後期の傑作のひとつ。第3楽章モルト・アダージョ~アンダンテは、腸の病から回復したベートーヴェンが、神に感謝する気持ちをこめ、「リディア旋法による病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と名付けた。ここでのカルテット・アマービレの演奏は、中身の掘り下げがなく、ベートーヴェンの精神世界が充分表現されたとは言えない。

4人が正確に美しく弾こうとしているのは分かるが、それ以上の音楽ではなかった。奏法もかつての弦楽四重奏曲団で聴いたヴィブラートが多い古いタイプのように感じた。先日の紀尾井ホールのコンサートでは、もう少し積極的で、演奏も練り上げられていたと思う。おそらくリハーサル時間が足りなかったのではないか。さまざまなコンサートやコンクール出演のため、忙しすぎるのではないかと心配になった。

 


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