Quantcast
Channel: ベイのコンサート日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1645

NHK音楽祭2015 アンドレス・オロスコ・エストラーダ hr交響楽団 五嶋龍

$
0
0






11
16日、NHKホール

五嶋龍はアンドレス・オロスコ・エストラーダ、hr交響楽団とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のCD録音を終えたばかり。細かなフレーズに至るまで両者が阿吽の呼吸で進むのは見事だったが、初めのうちは録音を再現するように安定した演奏ではあるものの、即興性に欠けるところがあった。それでも第3楽章になると演奏は熱を帯び、特に後半モルト・メーノモッソになって第2主題をたっぷりと聴かせるところは深い味わいがあった。終結部はオーケストラと共に燃え上がるような勢いがあり、大変な喝采が起きた。

五嶋龍の生演奏は今回初めてだが、スポーツ選手のように力強い表現力があり、勢い、切れ味に加え、技巧も完成されている。ただ音楽の味わいとか深み、作曲家にふさわしい様式感などはまだこれからの課題と思われる。アンコールにイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番第1楽章が弾かれた。


アンドレス・オロスコ・エストラーダの指揮も初めて聴いた。柔軟で生き生きとして若々しい音楽をつくる指揮者だ。最初のウェーバー:歌劇「オイリアンテ」序曲も冒頭から明るくはじけるような勢いがあり、また抒情的な第2主題も爽やかに歌う。
 マーラーの交響曲第1番「巨人」はエストラーダが前任のウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の首席指揮者就任披露演奏会でも取り上げた得意とする曲。マーラーの青春時代を表すような、みずみずしい演奏で、粘り気や諧謔性は少ないストレートな指揮だった。それが時に物足りないと感じさせたりするが、第4楽章のコーダは白熱し充実していた。

hr
交響楽団(旧フランクフルト放送交響楽団、hrはヘッセン放送協会のドイツ語略称)は各国の放送交響楽団と共通するところがある。確実でややドライ、硬質な響き、切れ味のある音。木管は特にオーボエが美しく、また金管群は輝かしく力強い響きで、「巨人」の最終楽章で存在感を示していた。

アンコールのブラームス:ハンガリー舞曲第6番は、長くウィーンで学び活躍しているエストラーダの共感が感じられる演奏だった。

アンドレス・オロスコ・エストラーダ(c)
Werner Kmetitsch  五嶋龍(c)E.Miyosh



Viewing all articles
Browse latest Browse all 1645

Trending Articles