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Channel: ベイのコンサート日記
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クシシュトフ・ヤブウォンスキ ショパン ピアノ・ソナタ全3曲

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17日、武蔵野市民文化会館小ホール

 ヤブウォンスキは1985年ショパン国際ピアノコンクール第3位。この年はブーニンが優勝、小山実稚恵が第4位、ジャン=マルク・ルイサダが第5位という激戦だった。今年はヤブウォンスキにとってデビュー30周年という記念の年になる。

彼のピアノは昨今のアーティストのような鋭くアグレッシブなものではなく、まろやかで、倍音がどこまでも美しく伸びていき、心安らぐものがある。
 ショパンのソナタ全曲という意欲的なプログラムに期待したが、残念ながら演奏そのものは美しさを超えるものではなく、音楽の深みに達することのないまま模範演奏のように進められていく。
 ただめったに演奏されないショパン17歳のときの作品、ソナタ第1番ハ短調作品4は、ヤブウォンスキも自信があると語っている通り霊感のある演奏で、第1楽章のどこからとも知れず湧き起ってく不気味さ、第3楽章の清冽な美しさなど、一般的には評価の低いこの作品の新たな魅力を教えてくれた。
 また第3番の第4楽章は、スケールが大きく、最後になって本気の演奏が聴けた気がする。

アンコールのマズルカ2曲(第14番、第15番)はよかった。あの民族的な味わいはポーランドのピアニストならではのものがあった。


(c) Rafal Wegiel



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