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Channel: ベイのコンサート日記
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ベアトリーチェ・ヴェネツィ 新日本フィル 吉野直子(ハープ

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(7月12日、すみだトリフォニーホール)

世界で活躍する女性指揮者の数は増えつつあるが、ゴールドのドレスで登場する指揮者を見るのはさすがに初めて。ベアトリーチェ・ヴェネツィは背が高くすらりとしたスタイル、長い栗色の髪、その美貌はファッション・モデルと見まがうほど。指揮するさいの長い腕の動きは女性的でしなやかだが、振りは大きく迫力がある。

もともとこのコンサートは同じく女性指揮者のアランドラ・デ・ラ・パーラが指揮する予定だったが、かなり早い段階でキャンセルになり、ヴェネツィが起用されたもの。

 

1曲目はニーノ・ロータ「組曲《道》より抜粋」。4曲目「ザンパノの怒り」冒頭の変拍子はストラヴィンスキー《春の祭典》を思わせる。バレエ音楽として再構成された組曲なので有名な《道》のテーマは第6曲「涙する孤独なザンパノ」冒頭のトランペットと、コーダにコンサートマスター(崔(チェ)文洙)のソロとして短く出るのみ。この映画に涙した思い出を持つものとしては少し物足りない。ヴェネツィの指揮はエンタテインメント性があり、見た目も出てくる音楽も華やかだが、時に強弱だけの一本調子になるところも感じられた。

 

2曲目は吉野直子をソリストとするヒナステラ「ハープ協奏曲」。ここでは吉野のハープが多彩な音色と表情、光り輝く音、弱音の美しさ、完璧なテクニックで聴き手を魅了した。ヴェネツィの指揮は神秘的な第2楽章はもっと繊細さがほしい。しかし第3楽章は吉野直子と共に盛り上げた。

 

後半のファリャ「バレエ音楽《三角帽子》」は、イタリア人であるヴェネツィの明るさ、歌心、陽気さが発揮され色彩感があり、ダイナミック、情熱的でとても良かった。特に「終幕の踊り」の躍動感は爆発的で、新日本フィルも良く鳴っていた。メゾ・ソプラノは池田香織。

 

アンコールのプッチーニ「歌劇《妖精ヴィッリ》より間奏曲」は情熱の嵐が吹き荒れるような激しさ。イタリアオペラのクライマックスのよう。2017年からプッチーニ音楽祭の客演指揮者として活躍しているヴェネツィのオペラ指揮者としての側面を垣間見せた。

写真:()堀田力丸

 

ベアトリーチェ・ヴェネツィのサイトで指揮ぶりの動画が見られます。

https://www.beatricevenezi.com/?fbclid=IwAR06-5bRU0Mfn9dKutGZlQQd5TRgeqivGpvRdeiTNw4CMhI1ZVzi5cJcwRU

 

 

 


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