「リヒテル≪謎エニグマ≫ 蘇るロシアの巨人」をyoutubeで見る。英語の字幕付き。Disc2枚分2時間半を一気に見てしまった。
リヒテルの深部にまで踏み込んだインタビュー(ブリュノ・モンサンジョン)と全体の構成が素晴らしい。
彼の複雑な生い立ち。正規の音楽教育を受けず、オペラの伴奏者をしていた時期。
モスクワに出てネイガウスに師事。彼を父のように慕う。ネイガウスはリヒテルを天才と呼ぶ。
ウィーンでのデビューの失敗(母の再婚相手から母が死にそうだと知らされた日)、アメリカでの成功(リヒテルは不満足な出来と自覚)。
カラヤンとの録音のさいの相性の悪さ。オイストラフとの幸福な共演やフィッシャー・ディースカウとの奇跡の共演。そしてブリテンとの友情。
プロコフィエフやショスタコーヴィチとの出会い。プロコフィエフへの皮肉な言葉。
ルービンシュタインやグールドの賛辞。若きアーティスト(オレク・カガン、ナタリー・グートマン)への援助。ヤマハのピアノについてはそのピアニッシモが気に入っていると言う。
なぜ楽譜を見ながらピアノを弾くか、に対するの答え。「暗譜では自分勝手な弾き方になり、作曲家に忠実な演奏にならない」。
インタビューの最後は、「自分のことは嫌いだ」と絶望するような表情を見せる。そのあとシューベルトの最後のソナタを演奏するソーンで終わる。
生のリヒテルを聴けなかったことは悔いが残るが、この映像の素晴らしさはそれを補って余りある。細部を知るために、日本語バージョンでも見たいものだ。
第1部
https://www.youtube.com/watch?v=yfJVpjI3wJM
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「リヒテル≪謎エニグマ≫ 蘇るロシアの巨人」
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