高関健指揮東京シティ・フィルによるガーシュウィンとバーンスタインは、作品の本来の姿をあますところなく描き出していた。スコアへの探求の確かさとともに、バーンスタインのリハーサルと本番を体験した高関ならではの説得力のある公演だった。
公演レヴューを書いた「ほぼ日刊サマーミューザ」がさきほど発行されました。pdfでは読みにくいかもしれませんので、書いた内容をコピーします。
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「ほぼ日刊サマーミューザ」
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(7月26日・ミューザ川崎シンフォニーホール)
サマーミューザらしいアメリカ音楽の祭典。作曲家の意図に忠実な高関健は、ガーシュウィン「パリのアメリカ人」で、初演の際カットされた約100小節を復元した楽譜を使用。更に、ガーシュウィンが指定した音程のタクシー・ホーンをドイツの楽器メーカーから取り寄せる徹底ぶり。4人の奏者が散らばってホーンを鳴らし、パリの雑踏を再現した。演奏は色彩感に満ちて華やか。コーダ手前の復元部分も新鮮だった。
ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」は、カデンツァの超絶技巧など、横山幸雄のピアノが圧巻。高関の指揮も緻密で、シティ・フィルもクラリネットをはじめ見事な演奏。名人二人の手にかかると、作品がこれほど輝くのか、という驚きがあった。横山のアンコールは、ジャズの要素を取り入れたドビュッシー「前奏曲集第2集第6番」。
高関は1981年タングルウッドで、バーンスタイン自身による「シンフォニック・ダンス」と「ディヴェルティメント」のリハーサルと本番に立ち会った。バーンスタインの指示を思い出しながら指揮したいとプレトークで語った高関とシティ・フィルの演奏は力強く、説得力がある。
『ウエスト・サイド物語』から「シンフォニック・ダンス」はエネルギッシュ。「(ランブル)決闘」の切れ味が強烈。「フィナーレ」は深く感動的。
バーンスタインがボストン交響楽団創立100周年記念のために書いた「ディヴェルティメント」の終曲、「イン・メモリアル~行進曲《ボストン響よ永遠なれ》」の結尾は金管が立奏するが、アンコールではなんとシティ・フィル全員が立奏。サマーミューザを盛り上げる楽しい演出だった。