Quantcast
Channel: ベイのコンサート日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1645

トゥガン・ソヒエフ ベルリン・ドイツ交響楽団 ユリアンナ・アヴデーエワ(ピアノ)

$
0
0


113日、サントリーホール)
 ベルリン・ドイツ交響楽団の音は重く、華やかさはなく地味である。やはりベルリンのオーケストラなのだろう。バイエルン放送響の明るく輝くような音と較べると、北ドイツの響きがする。ヤノフスキ率いるベルリン放送響に近いと言うと、プログラムに書いてある「開放的で明るい」という紹介とは逆になるが、今日のコンサートでも全体に重心が低く暗い響きを持っている。

ブラームスの交響曲第1番では、第1楽章から第3楽章までは心が動かされるような場面はほとんどなく、真面目だが面白くなかった。それが第4楽章に入ると音楽が生き生きと動き出す。ソヒエフの指揮もヴァイオリン群からヴィオラやチェロ群への旋律の受け渡しが冴え、また各楽器間のバランスにもより細かな指示が出て、パズルが解けていくように、全てが見事にはまっていく。スリリングの一言だ。どうしてこれが最初からできないのか不思議だ。旅の疲れか、音楽監督になって3年弱でまだオーケストラを把握し切れていないのか。

ユリアンナ・アヴデーエワとのベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番は、ベートーヴェンというよりショパンの協奏曲を聴いているようだったと書くと、物議を醸すかもしれない。ピアノは美しい。テクニックも完璧。第2楽章の再現部のピアノの細やかな動きは素晴らしかった。しかしショパンならピアノそのものに語らせれば音楽になるかもしれないが、ベートーヴェンの場合そうはならない。しかしショパンならピアノそのものに語らせれば音楽になるかもしれないがしかしショパンならピアノそのものに語らせれば音楽になるかも音しれないが、ベートーヴェンの場合はそうはならない。音楽の前にベートーヴェンの思想があるべきだと自分は思う。アヴデーエワは逆に、音楽の響きから入っていこうとする。アヴデーエワの世界がベートーヴェンより先にあるように感じた。

プログラム1曲目はメンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」。ソリストのアンコールはショパンの前奏曲「雨だれ」。オーケストラのアンコールは2曲。グリーグの「2つの悲しい旋律」から「過ぎし春」、そしてモーツァルト「フィガロの結婚」序曲。


(c)Patrice Nin


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1645

Trending Articles