オール・ショパンプログラム。バルダのプロフィールは、マネジメントのホームページをお読みください。
http://www.concert.co.jp/artist/henri_barda/
バルダを聴くのは、初めて。印象を一言で言えば、現代のピアニストとは全く違い、即興的と思えるほど、テンポやアーティキュレーションを自由に動かすピアニスト。
全体的にはテンポが速く、一気呵成に最初から最後まで行ってしまう。バラードの第1番の第2主題はもう少し歌ってほしいと思うけれど、さっさと終わってしまう。
せっかちなまでのピアノだが、ピアノ・ソナタ第2番《葬送》の第4楽章プレストは、その切迫したピアノが効果的で、一陣の風が、さっと通りすぎるような鮮やかさが圧巻だった。
マズルカは、バルダにとても合っている。自由なアゴーギクがポーランドの民族舞踊オベレクやクアヴィアクの拍子の揺れ動くリズムと相性が良い。
最後のピアノ・ソナタ第3番の第4楽章の激情も重苦しくはなく、爽快なまでに、駆け抜けて行った。
バルダは、往年の巨匠ピアニストのように、自分のスタイルを持っていると思う。
貴族的でもあり、洗練されているとも言える。ショパンなら、ワルツがきっと素晴らしいのではないか、と思っていたら、嬉しいことにアンコールで第8番と第5番を続けて弾いてくれた。物凄く早いテンポだが、とてもお洒落。
会場には、バルダについての本「神秘のピアニスト アンリ・バルダ」も執筆された青柳いずみこさんもいらしていて、盛んに拍手されていた。
プログラム:
4つの即興曲
第1番 変イ長調Op.29、第2番 嬰ヘ長調Op.36、
第3番変ト長調 Op.51、第4番 嬰ハ短調Op.66(幻想即興曲)
舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
ソナタ第2番 変ロ短調 op.35 「葬送」
バラード第1番 ト短調Op.23
バラード第4番 へ短調Op.52
4つのマズルカ
第38番 嬰へ短調Op.59-3、第40番 へ短調Op.63-2、第41番嬰ハ短調Op.63-3、第35番 ハ短調Op.56-3
ソナタ第3番 ロ短調Op.58