(1月22日、すみだトリフォニーホール)
ダウスゴーはこれまで新日本フィルと都響で聴いて、そのダイナミックな指揮と音楽の核心をつかみとる手腕に感服した。今回も、シベリウスの≪組曲「レンミンカイネン」─ 4つの「カレワラ」伝説≫とニールセンの交響曲第5番で期待通りのツボを押さえた鮮やかな指揮を聴かせてくれた。
ただ残念だったのは新日本フィルがダウスゴーの意図に百パーセント応じ切れていないことだ。2012年3月、初顔合わせのニールセン交響曲第4番「不滅」では、新日本フィルが素晴らしい演奏をしただけに、今回の出来は首を傾げたくなる。ひょっとして先週「戦争レクイエム」以降のハードスケジュールの疲れが出たのかとも思う。
「レンミンカイネン」では弦楽器に厚みがなく、金管も分厚い響きまでは至らない。たとえば第3曲「トゥオネラのレンミンカイネン」のクライマックス「死のテーマ」の深刻さが皮相的になる。第4曲「レンミンカイネンの帰郷」は最後に盛り上がったが、弾むような力強さではない。もちろん新日本フィルの演奏には良いところもたくさんあった。第2曲「トゥオネラの白鳥」のイングリッシュ・ホルンやチェロのソロは美しく、静かなコーダも冥界にふさわしい響きだった。
後半のニールセンの交響曲第5番はニールセンの特長であるうねりや粘り気があまり感じられない。第1楽章第2部アダージョの小太鼓が出るクライマックスではオーケストラは小太鼓の勢いに押され気味だ。ただコーダのクラリネットのソロは素晴らしかった。第2楽章第1部は淡泊な響きで、第3部の弦のフガートも強さがあまり感じられない。第4部のクライマックスはいまひとつ充実した響きがあればさらによかった。
関東ではいくつものオーケストラが新しい音楽監督や首席指揮者を迎えて充実した演奏を展開している。新日本フィルも今年9月に上岡敏之が音楽監督に就任する。今後の新日本フィルに期待したい。
(c) Per Morten Abrahamsen