モーツァルト「歌劇《ドン・ジョヴァンニ》」井上道義(指揮)森山開次(演出・振付)読響
(1月26日、東京芸術劇場コンサートホール) 東京芸術劇場主催のシアターオペラ第12弾。これまで様々な斬新な風をオペラに吹き込み話題を巻き起こしてきた。 今回の新しい試みのひとつは井上道義が演出・振付家の森山開次に演出を依頼、「オペラ×ダンスの邂逅(かいこう)」とサブタイトルがつけられ、オーディションで選ばれた10人のダンサーが様々な場面でダンスを披露したこと。...
View Articleクシシュトフ・ヤブウォンスキ ピアノ・リサイタル(1月21日、東京オペラシティ)
プログラムがヤブウォンスキの強い希望により直前に変更になったが、10曲中4曲は当初予定された曲だった。 ヤブウォンスキは1985年ショパン国際ピアノコンクール第3位。この年はブーニンが優勝、小山実稚恵が第4位、ジャン=マルク・ルイサダが第5位という激戦だった。 これまで二度聴いたが、2017年2月の新日本フィルと共演した時のアンコールが最も印象が強い。...
View Articleバッティストーニ&東京フィル 《魔法使いの弟子》《白雪姫》《シェエラザード》
(1月23日、サントリーホール)《魔法使いの弟子》、《白雪姫》、《シェエラザード》の共通項は「物語」。オペラを得意とするバッティストーニにとって自家薬籠中の作品が並ぶ。全編極彩色の華やかな響きが充満、圧倒的なクライマックスを築くバッティストーニの手腕が発揮された。...
View Articleアンサンブル・ディアーロギ 日本モーツァルト協会2019年1月例会
2014年スペイン、バルセロナで結成されたピリオド楽器の木管五重奏「アンサンブル・ディアーロギ」は、フォルテピアノ、オーボエ、クラリネット、ナチュラルホルン、ファゴットという編成。5人ともテクニックがすごいだけではなくクラリネットのジョセプ・コッポラを始め全員がエンターテイナーで底抜けに楽しい。...
View Articleリッカルド・ムーティ指揮 シカゴ交響楽団 ヴェルディ《レクイエム》
リッカルド・ムーティ指揮シカゴ交響楽団 ヴェルディ《レクイエム》(1月31日、東京文化会館大ホール) 声、声、声、声の饗宴。豊穣な声の海に呑まれ、揺さぶられる。これほどの歌と合唱の饗宴に包まれるのであれば、心置きなく天国に向かうことができると思った。...
View Article《間宮芳生90歳記念》 オペラ「ニホンザル・スキトオリメ」 54年ぶりの再演
(オーケストラ・ニッポニカ第34回演奏会、1月27日、すみだトリフォニーホール) 間宮芳生(まみやみちお)の大作オペラ「ニホンザル・スキトオリメ」が、なんとアマチュア・オーケストラであるオーケストラ・ニッポニカによって54年ぶりにセミ・ステージ形式で再演された。...
View Article超絶技巧!クリスチャン・リンドバーグ トロンボーン・リサイタル
(1月29日、東京文化会館小ホール) 20年以上前、会員向けCDClubでCDベスト盤を制作したことがあり、名前はなじみのあるクリスチャン・リンドバーグ。その生演奏を初めて聴いた。CDではわからない広がりのある豊かで輝かしく強烈な音と超絶技巧の連続にノックアウトされた。今年61歳とは思えない驚異的な体力と肺活量、全て暗譜という点にも圧倒された。...
View Article音楽ファン注目の的 ベルチャ弦楽四重奏団を聴く
(2月1日、紀尾井ホール) 巷の音楽ファンの間で熱く語られるベルチャ弦楽四重奏団。今年結成25年を迎える彼らの演奏を初めて聴いた。 尖った激しい演奏の弦楽四重奏団が多い中、ベルチャ弦楽四重奏団の節度を保った美しい音、4人のバランスの良さ、徹底して作品の様式感を大切にする正統的演奏は貴重に思える。...
View Articleマルク・アルブレヒト 新日本フィル ブルックナー「交響曲第5番」
(2月2日、すみだトリフォニーホール) 今日の指揮者マルク・アルブレヒトは1996年から2002年まで、ヴァイマルのドイツ国立劇場、ワイマール・シュターツカペレの音楽監督を務めたゲオルゲ・アレクサンダー・アルブレヒトの息子。先週のヤン・パスカル・トルトゥリエ(ポール・トルトゥリエの息子)に次いで、二世指揮者の登場となる。...
View Article広上淳一 東京フィル 「休日の午後のコンサート」<もっと、チャイコフスキー>
(2月3日、東京オペラシティコンサートホール) 人気のシリーズ「休日の午後のコンサート(第79回)」は今日も満席。広上淳一が東京フィルを指揮するのは2004年、2010年に続いて3度目、9年ぶり。コンサートマスターは依田新宣。 本日のタイトルは「もっと、チャイコフスキー」。《スラヴ行進曲》から始まったが、広上は弦の音が聞こえないくらい金管を盛大に鳴らした。...
View Articleヒュー・ウルフ 新日本フィル 第600回 ジェイド サントリーホール・シリーズ
(2月6日、サントリーホール) 第600回定期演奏会という記念のため、ロビーには46年前!1972年の新日本フィル結成特別演奏会(小澤征爾指揮)を始め、第200回の朝比奈隆、第400回のクリスティアン・アルミンク、第500回のウォルフ・ディーター・ハウシルトなど節目の演奏会のポスターやパンフレットが展示してあった。...
View Article紀尾井ホール室内管弦楽団第115回定期演奏会 (2月8日、紀尾井ホール)
寓話・神話(ミュトス)や、聖書・観念(ロゴス)に着想を得た古今の名曲を取り上げるシリーズ<ミュトスとロゴス>の2回目は、ギリシャ神話の「詩と音楽の神」=アポロンがテーマ。...
View Article川瀬賢太郎 藤村実穂子 神奈川フィル ハンス・ロット「交響曲第1番」ほか
(2月9日、横浜みなとみらいホール 大ホール) プレトークで川瀬賢太郎は藤村実穂子と共演するのは初めてだと語った。最初に会話を交わしたのはオペラシティでのあるレセプションの帰りの電車の中で、その時いつか一緒に演奏しましょうと話したと言う。...
View Articleクルレンツィスは本物か? 私はこう聴いた。
(2月11日、すみだトリフォニーホール) 結論から言えば、クルレンツィスには組織やオーケストラのリーダーとしてのカリスマ性、統率力はあることは確か。指揮者としては偽者とまでは言わないにせよ、未完成であり、まだ成熟していない。若いのでこの先変化するだろうし、伸びていくだろうが。...
View Articleテオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナ サントリーホール公演感想
再びクルレンツィス&ムジカエテルナを聴いて感じたこと。なぜ聴衆はあれほど熱狂するのか。それはクルレンツィスが言う「演奏者の感じているエネルギーが聴衆に伝わる」からではないだろうか。 前半のチャイコフスキー「組曲第3番ト長調」は冒頭のヴァイオリンの主題をきめ細かな表情で演奏し、これは何か起こるかもと期待を持ったが第3曲までは比較的淡々と進んで行った。...
View Articleローター・ツァグロゼク 読響 ブルックナー「交響曲第7番」(ノヴァーク版)
(2月22日、サントリーホール) 今年77歳と円熟の時を迎えたローター・ツァグロゼクによる正統的なブルックナーを味わった。際立つような激しいクライマックスをつくることはないが、音楽は自然な流れの中で息の長いクレッシェンドがつくられ頂点に至る。声高に語らなくとも、ずっしりと重いものが心に残る。これこそブルックナーだと認識させられる。...
View Article西村朗「紫苑物語」(制作委嘱作品・世界初演) 個人的な感想
(2月24日、新国立劇場) 新作のオペラ「紫苑物語」千秋楽。詳細な分析的レヴューは多くの方が書かれているので、ここでは個人的な感想を述べたい。 私自身は全く感動しなかった。台本も音楽も惹きつけるものがなかった。そのわけを書き出すとたくさんある。...
View Article川瀬賢太郎 神奈川フィル ヴェルデイ《レクイエム》(2月23日、神奈川県民ホール)
ロレンツォ・ヴィオッティ&東京交響楽団(1月12日)、リッカルド・ムーティ&シカゴ交響楽団(1月31日)に続く、今年早くも三回目のヴェルディ《レクイエム》。これまで聴いた2回が大変な名演だったため、今回はソリスト、合唱団、オーケストラいずれの印象も割を食うことになってしまった。...
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